設立目的、背景と経緯
機械産業は間違いなく経済的に日本を支えているのですが、古臭く先端技術でもうやることはないとかと言われ、技術の維持・工場の手は抜かれ、人的投資もなされていない実情があります。例えば、機械の設計もコンピューターで前例のコピーペーストでなされる場合がほとんどで、設計者が自分の頭で基礎的な事から考え、それに経験を加えてもっとも確からしいものを提案して行くことも少なくなりました。鉄鋼材料の品質においてもコスト削減の圧力の悪影響が多く見られるようになりました。その結果として機械のトラブルの件数はどんどん増えており、その対策も打てない状況が増えています。機械産業を取りまく技術環境は、医療の分野に例えるならば、無医村の状態に近づいているのです。このような状況を何とか改善し、日本の将来に益するために、公益財団法人である応用科学研究所では、一隅を照らす程度の事であっても、何かをするべきであると考えました。
そこで、総合的機械技術の端的な例である機械式動力伝達装置を取り巻く機械要素の製造、品質検査に関わる技術を取り上げ、その問題点を改善する技術の開発と人材の育成を目指します。これが日本の機械産業の発展になにがしかの寄与が出きることを望んでいます。
この研究開発活動を可能とするために、振動を遮断した恒温室に加工機、検査装置を設置し、CADによる設計、そのCADデータによる歯車の直接加工と、同じデータによる直接形状精度測定、加工された表面の冶金学的な検査が出来る設備を整えた機械基盤研究施設を、平成26年に完成させました。